経済関連

日本政府の財政問題、債務残高、日銀の財務状況を確認する【バランスシート&損益計算書】

破綻するかもしれないと言われている日本の財政状況、あるいは日銀の財務状況は、具体的にどうなっているのでしょうか。

世の中に出ているデータは、それぞれ微妙に違っていたりするので、引用元ごと(解りやすく)まとめました。

この記事では、

  • 政府のバランスシート(資産と負債の内訳)
  • 政府の損益計算書(1年の収入と支出)
  • 日銀のバランスシート

を見ていきたいと思います。

政府のバランスシート

以下、財務省『国の財務書類』より作成

こちら2018年度末のものですが、BS規模は1260兆円です。

(単位は兆円・見やすいように数字は5刻み)

「破綻するのかしないのか」は、この記事では論じませんが、GDP以上の純負債があることは事実となっています。

なお、換金できるできないは正確には判断できるものではありませんので、参考程度に。

ちなみに、政府に甘めに判断しています。

具体的には、

  • 「現預金」「米国債」などはもちろんのこと
  • 地方公共団体や独立行政法人などへの「貸付金」
  • 日本郵政やJT、高速道路系会社、医療研究センターや国立大学への「出資金」

も換金資産に入れています。

実際は、独立行政法人やJTはともかく、地方公共団体や研究センターからは資金を引き揚げられないでしょうから、上のバランスシートよりは厳しい状況であるはずです。

そう考えると、負債総額のうち実質的な資産は30%くらいでしょうか。

(コロナ対策で今はさらに悪化していると思われます)

ちなみに、政府関連法人(独立行政法人など)を含んだ「連結バランスシート」は以下の通りです。

関連法人が資産を持っている分、いくらか改善していますが、純負債額は大差ありません。

政府単体のBSをヤバいと思う人はヤバく見えるでしょうし、大丈夫と思う人はより安全に見えるでしょう。

政府の損益計算書

さて、なぜこれほどまでに日本はバランスシートの規模が大きくなっているのでしょうか。

それは当然、政府が毎年赤字を増やしているから、ということになります。

さて、貸借対照表の次には損益計算書を見たいのですが、残念ながら政府には損益計算書はありません(利益を求める組織ではないため、とのこと)。

では、どうすれば良いのかと言うと代わりのモノがあります。

「業務費用計算書」と「資産・負債差額増減計算書」です。

(以下は2018年度決算のモノです)

財務省『国の財務書類のポイント

「業務費用計算書」には、その年に国の運営にかかった費用が記載されています。

「資産・負債差額増減計算書」には収入の大まかな内訳が載っています。

(なお、この2つには国債の発行・償還による収支は記載されていません。これにより、国の純粋な収支が分かります)

表のままだと分かりにくいのでグラフ化しましょう(金額は四捨五入)。

まずは、費用に関して。



こう見ると、一見「あれ、社会保障費ってそんなに大きくないのか?」と思ってしまいますが、実はこれ会計マジック(詐欺)です。

先ほどの表の注釈を見てもらえれば分かるのですが、「補助金・交付金」のうち36.6兆円(!)は社会保障費です。

これをふまえて再計算すると、以下の通りです。



社会保障給付費だけで、国の費用の60%を占めています。

(なお、これは政府のみの会計です。地方分なども合わせると120兆円規模になります。さらに国が使途を制限できない地方交付金等も、実際はそれなりに福祉関連に使われています)

ところで、この「業務費用計算書」には細かい使途が分からない、という欠点があります。

これを知るには、「歳出決算の純計」というデータを見るのが最適です(用語は一旦スルー)。

※上のリンクの507ページです(こんな大事な情報なのに、あえて分かりにくくしているとしか思えません)

この表の「国債部分」を無視すると、先ほどの「業務費用計算書」と規模感が揃います。

表とグラフは以下の通り。



このグラフに「資産・負債差額増減計算書」を使って、財源を当てはめてみましょう。



日本という国を1年運用するごとに、これだけの赤字が出ているということになります。

この不足分は当然国債を発行して、まかなうしかありません。

なぜ、これだけ財源が不足しているかと言うと、

  • 2000年度から始まった「介護保険制度」
  • 2008年度から始まった「後期高齢者医療制度」

の影響が大きいと言われています(実際、これらの年に負債額が大きく伸びています)。

財政破綻や国債発行額の話は置いておくとして、

事実として日本は「公共事業」や「文教科学振興」「防衛」への支出(投資)は少なく、「年金」や「医療」といった支出(浪費)が多い財政になっています。

年金と医療費だけで歳出の50%です。

老人たちが、裕福な暮らしをして、行かなくても良い病院に入り浸るために73兆円もかかっているのです。

言い方は悪いですが、若者から金を撒きあげて再生産性のない領域にこれだけつぎ込んで、経済成長するわけがありません。

(それでも使ってくれればまだマシで、「将来が不安だから」とタンスにしまい込まれた日にはいよいよ死に金になります)

また「生活扶助費のうち生活保護費3兆円」に対して、「文教科学費のうち科学振興費1.6兆円」です。

日本が誇るスーパーエースたちの研究費が、ただ消えていくだけの(どれだけ適正な人に届いているのかも分からない)費用の半分しかないのです。

もちろん医療も福祉もセーフティネットも大事ですが、あまりに配分を間違えています

民主主義が世代間の人数差によって機能不全を起こすいい例(悪い例)です。

財政破綻派の方もMMTの方も、この事実だけは覚えておいていただきたい(そして影響力のある方には広めていただきたい)と思います。

日本には「一般会計」「特別会計」という国の予算があります。

よくニュースになるのは「一般会計」ですが、実際のところ、規模が大きいのは特別会計です。

しかも、一般会計から特別会計にお金が流れていたり、特別会計内でもお金が行ったり来たりしていて、このあたりの実態は非常に掴みにくいです。

なので、「歳出決算の純計」が大事になってくるのです。

「歳出決算の純計」とは、一般会計と特別会計の重複を全て取り払った、実際の支出額です。

また予算の段階と決算の段階では、誤差が生じてきます。

なので、基本的には「業務費用計算書」などの決算資料を見るのが良いでしょう。

日銀のバランスシート

以下、日銀『営業毎旬報告』より作成

日銀は、政府と違って毎月バランスシートを公表しています。

なので、現時点で最新は「2020年4月30日時点」のモノになりますが、まず上に合わせて2018年度末のものを図表化します。

(単位は兆円・見やすいように数字は5刻み)

バランスシートの規模は560兆円です。

(なお、2年後の2020年4月末現在は620兆円と、+60兆円です)

今さら説明するまでもありませんが、量的緩和で発行した国債を日銀が引き受けているため、こうなっています。

日本のGDPが550兆円くらいですから、ほぼ匹敵(というか100%以上)という規模になります。

もっとも、規模がデカいから「=危険」とは限りません。

これに関しては、様々見解があります。

  • 破綻派は「もう危険」
  • リフレ派は「まだ安全」
  • MMT派は「そもそも関係ない」

と思っているでしょう。

そして、リフレ派の論理として「政府と日銀は一体だから合算すべし」という統合政府論と呼ばれるものがありますので、今回は統合政府のBSも確認しておきましょう。

やり方は何パターンかありますが、ここでは

  • 単独政府+日銀
  • 相殺は国債のみ
  • 日銀の資産は全て換金資産

とします。

バランスシートは以下の通り。

確かにこう見ると、借金に対応して換金資産があるように見えます。

銀行券は会計上は負債ですが、世の中に出回っているお金なので(返済を前提にしていないので)、気にする必要はありません。

当座預金をどう判断するか(ブタ積みになっているだけの安全な負債なのか、金利上昇で爆発する危険な負債なのか)で評価は割れることでしょう。

ちなみに、政府(単独・連結・統合)のバランスシートに「純負債」があっても許される理由だが、

主流派経済学(日銀破綻派・リフレ派)的には「国には課税権があるから」

MMT的には「そもそも通貨&自国債が発行自由な国は破産しないから」

という主張になっている。

しかし、MMTも「国による課税権」を理論の前提にしているので、両者とも根拠は同じである。

あとは、破綻や預金封鎖、ハイパーインフレが実際にあると考えるかどうかの違いだ。

企業と違って破綻しないのは、政府には徴税権といういわば“見えない資産”があるからです。日本の場合(中略)1000兆円の見えない資産がある。

高橋洋一『政府資産世界一、徴税力も強大

政府が債務超過を清算する方法は徴税だが、それは(中略)470兆円の現金を国民が失うということだ。

五十嵐敬喜『国債を巡る危険な楽観論

(ご覧の通り、ともに主流派内でも、リフレ派と緊縮派では、ニュアンスがまるで違う)

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